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2026年 新年のご挨拶
新年のご挨拶

新年おめでとうございます。
会員社をはじめとする皆様におかれましては、健やかに新春を迎えられたこととお慶び申し上げます。また、日頃から温かいご支援とご協力を賜り、心よりお礼申し上げます。
2025年10月、Marketing Science Institute(MSI:1961年に設立されたアメリカ・マサチューセッツ州に本部のある世界でも最も権威のあるマーケティング学術研究機関の一つ)では、4つの研究上の優先課題を挙げています。①マーケティング分析 – AI、モデル、測定、コミュニケーション、②消費者体験 – 変化する期待、カスタマージャーニー、テクノロジー、③ステークホルダー – ホリスティックなステークホルダー、組織のナビゲーション、組織内教育/コミュニケーション、④イノベーション – 新技術、研究開発、組織開発、です。AIとくに生成AIを用いたデータ分析・利用・融合におるダイナミックな予測モデルとそれによる意思決定支援強化、消費者価値とブランドパーパスとの調整、ソーシャルメディアやインフルエンサーネットワークを用いたカスタマージャーニーの把握、目標や戦略に関する企業内外のステークホルダーの共通理解にもとづく組織開発が重要であると考えられます。
マクロレベルでは、不平等や格差拡大によって社会が分断され、世界中で民主主義や自由が危機に陥っている中、2025年末に「エコノミストが選ぶ経済図書ベスト10」(『日本経済新聞』12月27日付)の1位となったのがノーベル経済学賞を受賞した『スティグリッツ 資本主義と自由』(山田美明訳、東洋経済新報社、6月刊)です。規制も束縛もない市場を信奉する「新自由主義」の思想とそれがもたらすトランプ後の世界におけるポピュリズムに警鐘を鳴らし、環境、金融、ダイバーシティ、メディアなどさまざまな分野で公的部門による一定の規制を通じた平等や社会正義、民主主義の実現をめざす「進歩的資本主義」を提唱しています。
サステナブルな社会の実現に向けて企業には、これらビジネス課題と社会課題をどう両立させながら組織革新を図っていくかが求められています。
公益社団法人日本マーケティング協会が行った「マーケティングにおけるAI・デジタル活用に関する調査」(2025)によれば、マーケティング業務に生成AIを活用している企業はすでに9割近くに達しているが、業務自動化レベルの高度なAI活用はまだ限定的で、約半数の企業がAI導入やDXの成果を実感できていないと言われます。社内のモチベーション向上や効率化が鍵となるようです。
『統合報告書』は外部経営環境を背景として組織の戦略、ガバナンス、実績、及び見通しが、どのように短、中、長期の価値の創造、保全または破損につながるかについてのコミュニケーションツールですが(日本取引所グループ)、近年ますますその役割に注目が集まっています。そこにブランディングや知財がどのように反映されているかを昨年、日本ライセンス協会と提携して調査を行いました。「ブランド」関連キーワードの頻出度だけでなく、それがコーポレートブランドとどのように関連づけられているかを中心性指標やトップメッセージ、ブランド価値創造プロセス、ESGなどを総合的に評価するという試みです。会社によっては製品ブランドとは強い関連づけがされているものの、企業全体の成長やブランド価値向上、内部統制、コンプライアンスの徹底、株主を含むステークホルダーとの持続的かつ双方向のコミュニケーションなどが十分ではないケースも散見されました。
グローバル競争とデジタル化が進む現在、ブランドはもはや製品差別化のためだけの道具ではありません。それは「競争優位ではなく存在意義」を示す経営、マーケティング、知財を結びつけるネクサスです。サステナビリティやDX、OMOの潮流を背景に、コーポレートブランドを軸とした価値共創とインターナルブランディングを経営戦略の中核にして捉えることが求められています。Society 5.0時代におけるブランドは、マーケティングと知財を基軸にしながら、人材開発戦略、営業戦略、生産戦略、研究開発戦略、財務戦略など機能戦略を連携させ統合する経営視点でなければなりません。
2026年の干支は「丙午(ひのえうま)」。60年前の1966年の出生数は136万人とその前後の年に比べて地方や農村部を中心に極端に低かったようです。少子高齢化時代、出生率のさらなる落ち込みは社会全体の活力の低下につながりかねません。陰陽五行で陽の火が重なり火災が多いという説(『広辞苑』)などの迷信が流布したのにはテレビや雑誌などメディアの影響も大きかったようです。当時と異なりインターネットやスマホが普及し、SNSが飛び交っている“情報洪水”の今日、正しい情報を的確に取得しながら新しいライフスタイルや価値観、行動規範の革新、顧客体験の革新をどう進めるかが問われています。
本年、一般社団法人ブランド戦略経営研究所(BSMI)は15年目、前身のブランド戦略研究会を含めると25年目を迎える事ができました。昨年5月の理事会・総会で中期3カ年計画(2025年~2027年)を策定しましたが、そこでは「WELL-BEING(人間の幸福ないし繁栄)」「LIVING-BRAND (ブランド体現) 」を志向するブランド・イノベーションと「ブランド戦略経営」を掲げる唯一無二のシンクタンクとしての存在感の発揮と組織強化と実施という達成目標を掲げ、フォーラム(・ゼミナール)、部会研究会、専門部会、合宿研究会などを実施してきました。引き続き本年も6大フィールド(①マーケティング・営業フィールド、②知財フィールド、③人材開発フィールド、④消費者フィールド、⑤D2Cフィールド、⑥「WELL-BEING」「LIVING-BRAND」フィールド)の“3 STEPブランド・イノベーション”の実現を図る一方で、サポートセンター(「駆け込み寺」)機能の強化など「ブランド戦略経営」を体現する研究所の組織イノベーションを皆様とともに進めてまいります。
年頭にあたって会員社をはじめ多くの皆様の今後益々のご清栄とご発展を心よりお祈りいたします。
本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。
2026年1月
一般社団法人 ブランド戦略経営研究所 理事長
関西大学名誉教授 陶山 計介
2026/01/06

