定例研究会開催レポート

HOME» 定例研究会開催レポート »2021年3月新生「一般社団法人ブランド戦略経営研究所」発表講演会第二弾

定例研究会開催レポート

2021年3月新生「一般社団法人ブランド戦略経営研究所」発表講演会第二弾

新生「一般社団法人ブランド戦略経営研究所」発表記念講演会<第二弾>

POSTコロナにおけるビジネス環境とブランド戦略

-マーケティングと知財を基軸とするブランド戦略経営をめざす新生BSMIへの期待-

一般社団法人 ブランド戦略経営研究所では、「新生 一般社団法人ブランド戦略経営研究所発表記念講演会 第2弾」を、3月19日(金)オンラインで開催いたしました。テーマは「POSTコロナにおけるビジネス環境とブランド戦略-マーケティングと知財を基軸とするブランド戦略経営をめざす新生BSMIへの期待-」です。

冒頭、陶山理事長から「一般社団法人ブランド戦略経営研究所の今日的意義と将来に向けて」と題して解題提起、つづけて各講師の方々よりそれぞれの立場からのブランド戦略経営に関するお話とBSMIへの期待を語っていただきました。

 

◇基調講演「一般社団法人ブランド戦略経営研究所の今日的意義と将来に向けて」②

一般社団法人 ブランド戦略経営研究所 理事長 陶山 計介

陶山理事長:ブランド戦略研究会は、2001年に発足いたしました。当時の日本企業は、ブランド戦略に関する担当部署や他部署との連携がなく、欧米企業と比べてブランド戦略が必ずしも成功しておりませんでした。このような状況の中で、当会は2012年に「一般社団法人ブランド戦略研究所」を設立し、特に知的財産とマーケティング部門の連携を進めていくことを出発点として、これまで研究を積み重ねてきました。

この度、当会は新たに「経営」の2文字を加えて「一般社団法人ブランド戦略経営研究所(BSMI)」へと名称変更を行いました。BSMIでは、マーケティング戦略と知財戦略を基軸にしながら、人材開発・営業・生産・研究開発・財務戦略などの機能戦略を連携させたトータルなブランド戦略経営の推進を目的として、次のことに取り組んで参ります。

  1. ブランド戦略に関する日本を含む世界の調査・研究・情報収集活動
  2. ブランド戦略に関する研究会・セミナーなどの開催を通した啓蒙活動
  3. ブランド戦略やマーケティング、知財などに関する出版・広報活動
  4. ブランド戦略に関する内外の諸機関との連携・提携・交流
  5. ブランド戦略等に関する補助金その他の各種申請及びこれらに関する他者に対する支援

ブランド戦略について、これは一つの私論でございますが、ブランド・知財・商標との関係から捉えると、3つの側面から言い表すことができます。

①経営マーケティングとしてのブランド戦略
:識別・差別化するための一定のまとまりと意味を持つ記号情報としてのブランド

②マネジメントとしてのブランド戦略
:安心、信頼、バリュー、感動、あこがれ、夢のネクサス(期待と約束)としてのブランド

③知財・資産としてのブランド戦略
:企業やステークホルダーに新たな現在/将来価値を創造する無形資産としてのブランド

またマーケティングと知財を基軸とするということで、井上理事のSysmex事業におけるブランド・知財・経営の観点から表現すると、次のように言えます。

・知財はビジネスのルール(知財権を踏まえた事業ドメインの決定)である
・知財はビジネスのツール(排他権による参入阻止)である

他方、ブランディングは、攻めのアクティブ・ブランディングと守りのパッシブ・ブランディングがあり、また通常考えられている外向けのエクスターナルブランディングに対して、内部向けのインターナルブランディングなどもあります。これら両者をいかに統合してブランド戦略を展開していくのかが問われています。

上記のような考えに基づきながら、BSMIでは3つの分野で、調査・研究・出版活動を進めており、以下3つの新刊書を発行する予定です。

 

『攻めのインターナルブランディング』(2021年.6月刊行予定)

閉塞感のある今日、経済・社会を元気にするための要素は、ヒト・モノ・金・情報、ブランドなど様々にあるが、やはりその根底・源は「ヒト(人材)」ではないでしょうか。人に活力と元気を与え、その人のもつ可能性や潜在能力をいかに発揮させることができるか、という観点から「インターナルブランディング」に着目しています。企業内、組織・団体内の従業員がいかに企業の理念・ビジョン、ミッションを共有し、企業へのロイヤルティを持ち、モチベーション、イノセンティブを高めていくか。6月刊行予定の本書の中でこの考え方を紹介していきます。

現在、経産省を中心に様々な業種・業界で議論されているDX(デジタル・トランスフォーメーション)ですが、2020年2月の中間報告によると95%の企業がDXに全く取り組んでいない/取り組み始めた段階です。ニューノーマル時代に求められる組織や働き方の改革、顧客行動の変化に対応したビジネスのやり方や事業継続性の確保・保障を、Society5.0=超スマート社会の新しいライフスタイルや価値観、行動、顧客体験を踏まえて考えていく必要があります。

当然ブランド戦略についても、Society5.0=超スマート社会のイノベーションにつながるロードマップを描くこと(=Brand 5.0)が求められております。ブランドの理念、リーダーシップ、コミュニケーション、コミュニティ、HRM(人的資源管理)をツールとして活用しながら、企業・組織・団体内のインターナルブランディングを進め、外部のエクスターナルブランディングにいかに繋げていくという、企業の従業員一人ひとりによるブランドの体現(=Living Brand)が、重要なのです。

 

『アメリカにおけるリテールイノベーション』(今秋刊行予定)

近年注目を集めているGAFAM(Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsof)をはじめとする新しいプラットフォーム企業に対して、リアルな店舗はどのように対抗していくのか、あるいはリアルとオンラインはどのように融合していくかを、アメリカのリテール企業の様々な取組み事例と共に、本書で紹介いたします。
全米小売業協会(NRF)のここ数年の大会では、自動化・スマート化・パーソナライゼーション・体験・DtoCなど、アメリカにおけるリテールイノベーションの最新動向を示す新しいキーワードが沢山登場しています。こうした状況をふまえながら、新しいリアルとバーチャルの連携の動きを考察し我が国のリテールイノベーションの実現・具体化にとって有益な示唆を提供していこうと考えています。

 

『地域創生マーケティング全書』(今夏刊行予定)

地域創生マーケティングをテーマとして、地域創生に向けた「コト」ベースのブランディングを中心に現在考察しています。

モノや場所ではなく、「コト」あるいは「ストーリー」をベースとしたブランディングにより地域の活性化ないし地域創生をもたらすこと、あるいは「まち」「ひと」「仕事」3つの好循環を生み出す方法などを課題として研究を行ってきました。地域のマーケティング、リレーションシップ、ネットワーク、地域コミュニティ、顧客体験、価値共創など、新しい地域創生のパラダイムをご紹介します。

 

以上3つの調査・研究活動を中心としながら、11年目の新しいBSMI、さらにパワーアップしたBSMIは皆様のご期待に応えていきたいと思います。

陶山計介 当研究所理事長
Profile:一般社団法人ブランド戦略研究所理事長。関西大学商学部教授。京都大学博士(経済学)。『ブランド・エクイティ戦略』(共訳著、ダイヤモンド社)、『日本型ブランド優位戦略』(共著、ダイヤモンド社)、『よくわかる現代マーケティング』(共編著、ミネルヴァ書房)などブランド・マーケティング研究の第一人者。日本商業学会元会長。

 




◇第2講「コロナ禍のグローバル・マーケティングの現状と新生BSMIに期待するもの」

当研究所顧問 /「グローバル・マーケティング研究会」代表世話人 大石 芳裕 氏

大石氏:私からはコロナ禍の影響を、鳥の目(グローバル化のマクロ視点)、虫の目(グローバル化のミクロ視点)、魚の目(グローバル化の未来動向)からお話ししたいと思います。重要なことは、コロナの危機により世の中が大きく変わっているということであり、コロナ後はどのような世界となるのか、日本国内だけでなく、世界全体のこととしてお話しします。
 

過去のパンデミックによる社会変容

ペストの大流行、スペイン・インフルエンザ、近年のSARSやMERSなど、過去のパンデミックにより、人間社会は大きく変容しています。例えばペストの大流行は、ヨーロッパの市民革命と近代社会化のきっかけとなり、またSARSはヨーロッパ共同体(EC)の急速な発展を促しアリババやテンセントが急成長するきっかけともなりました。
 

鳥の目:グローバル化のマクロ視点

マクロの視点から、グローバル化の内容が変わっていることを理解しなければなりません。ハーバード大学で経営史を専門とするジェフリー・ジョーンズ氏は、2008年から新たな逆グローバル化が起きていると述べており、実際の世界の輸出額や直接投資額も2008年以降は伸びておらず、私たちがイメージするモノや人や金が自由に行き来するグローバリゼーションは、実は2008年以降には停滞していました。これがコロナにより再び大きく制限されてしまった、と理解するのが正しいと思います。

さらに世界の政治動向を見ると、ロシア、中国、インド、インドネシア、英国、米国等の指導者は自国第一主義をとってきており、2012~2016年辺りでこのような政治転換も顕在化しています。
 

サプライチェーン・マネジメント(SCM)の変化

また従来のグローバル化におけるサプライチェーンは、適地生産・適地販売型のいわゆる「商人型」であったのに対し、金融危機や東日本大震災が発生して以降、特にコロナ後は、BCP(Business Continuity Plan)型のグローバルサプライチェーンマネジメントが標榜されるようになりました。
つまり重要なものはなるべく域内で調達・販売し、有事の際のBCP(事業継続)を確保しようというのが大きな流れです。今回のコロナで言えば、ワクチン製造やマスク生産などもこのBCP型の考え方に移行してきており、またトヨタのRESCUEの事例もこのBCP型のサプライチェーンと言えます。これらBCP型のサプライチェーン構造は、一定のテリトリーを決めて追い込みをする狩りのような構造になっていることから「狩猟型」といえるのではないかと思います。

しかし今後は「拠点型」のグローバルサプライチェーン・マネジメントになるのではないかと思います。モノやヒトの拠点間の移動はさらに困難になる一方で、金や情報、知識等、コンピューター上をデジタルに流れるものは、さらに移動するようになります。もちろん個人情報等の規制はあるものの、ある国のマーケティングノウハウやビジネスノウハウは、移転することで多国籍企業を成長させ、グローバル化をさらに推し進めると考えています。

このような拠点型グローバルSCMは、土着的に自分の所は自分で耕し、他方で海外進出も行うため、農耕型といえるのではないでしょうか。

特に日本企業は国内市場が狭隘化しているため、海外市場を求めて出ていくしかなく、出ていった先の土地を耕して、その土地で得たノウハウや知財はグローバルに展開する、というのが今後のグローバルサプライチェーンのやり方ではないかと考えます。
 

虫の目:グローバル化のミクロ視点

私はミレニアル世代、Z世代を研究しており、様々な調査結果をみると、日本は少し傾向が異なりますが、世界的な傾向としてはミレニアル世代、Z世代において、コト消費、地球環境問題、多様性などに多くの関心が集まっています。
 

アメリカのミレニアル世代向けの事業

・Phluid(NYC, NY):オーバージェンダー、性別にとらわれない製品を取扱う
・Miir(Seattle, WA):ハイキング用のボトルを製作。ボトルが1個売れるごとに途上国に寄付する仕組みを作り成長。パタゴニアでも販売。若い人が集まれる場所も提供。
・Succulent Studios (Fallbrook, CA):サボテンの通信販売
・Ripple Street(Irvington, NY):ホームパーティーで製品のプロモーション
・KC Wineworks(Kansas City, KS):女性向けワインを通販。缶入りのワイン等がヒット

ZEBRA IQが報告するZ世代の特徴は、Creative、Justice、Authentic、Communityといったキーワードで語られています。また最近インテージが行った、中国のミレニアル、Z世代のセミナーでは、次のような上海の若い人たちの未来のライフスタイルテーマが挙げています。

①Drive my positive spiral
(自分の日々の生活づくりが、社会づくりにスパイラルアップする暮らし)
②Gotta be sporting to go courting(健康を魅力的に訴求して彼女を作る)
③HINABE-ism(火鍋とは人の集まりのある楽しい毎日の象徴)

当然このような動きの背景にはSDGsやESGがあるが、このために彼らが動いているというよりも、世界中で共有されているトレンドの中で彼ら世代はこのような立場をとり事業を成長させています。
 

魚の目:グローバル化の未来動向

私個人の見方から今後必要とされていること、4つを挙げます。

  • 理念:激変する世界・激動の世界だからこそ、経営者の意志・信念・理念が重要。その姿勢が問われてくる
  • イノベーション:製品・製造のイノベーションのみならず、ビジネスモデル、組織のイノベーションが必要。特許・商標・意匠など。
  • 真正性:ブランドの真実性。コミュニケーションによるイメージ創出に留まらない「本質・本物・本格」が不可欠。やはり本質・本物・本格でなければ生き残れない。
  • 社会貢献:社会貢献なくして企業の発展もない。社会貢献と収益拡大を同時達成!SDGs。社会貢献と収益拡大を同時に達成されなければいけないということは当然のこと

マーケティング的には、「農耕型」「土着型」として、現地生産・現地販売が可能となるよう「現地適合化」が重要になります。一つのマーケットの中で、ひとつのモノが完結するというように、重要なものを揃えていかなければ勝ち残ることはできません。ここで培ったノウハウ、知財を知識移転していくことで、グローバル化が進むというふうに考えております。
 

知財戦略の重要性

世界知的所有権機関(WIPO)の国別・国際特許出願数によれば、日本は中国、アメリカに次ぐ第3位。非特許型という動きもあるため一概に特許数だけで競争力を測ることはできませんが、技術革新の一つの指標であり、技術的には奮闘していることが分かります。

一方個別企業でみるとTOP20に日本企業は6社あり健闘しています。この内5社は2019年より特許出願数が増加。技術革新という点で日本はかなり健闘。

しかし国際商標特許の出願数をみると、7位とややランクダウン。国際意匠(ハーグ制度)出願も日本は第7位ですが、個別企業でTOP20入りはゼロ。ここから個別企業において、まだまだブランド意識あるいは知財に対する日本企業の意識が低いことが伺えます。

ブランド経営戦略研究所によるブランド戦略をはじめ、今年2月に設立されたIPランドスケープ推進協議会によるIP経営などによる、知財戦略を進める動きも見られます。
 

新生BSMIに期待するもの

新生BSMIに期待することは、下記の通りです。

  • ウェブサイトの「研究所概要」の書き直し:やはりウェブサイトは顔。WEBサイトを訪問する人のために頻繁に見直し・更新してほしい
  • 「ブランド戦略経営」のロードマップ作成:経営者はブランド戦略経営が重要性を理解しながらも、その方法や手順がわかっていない。ロードマップや基準を示すことが必要
  • 「ブランド戦略経営」組織作りの支援:組織は戦略に従うものの、現実には一旦組織ができあがると、それにより戦略が制約を受けることも。この組織づくりの支援も必要
  • 「ブランド戦略経営」の成功事例紹介:
  • 「ブランド戦略経営」のグローバル展開:日本企業はグローバル化しなければ生き残っていけない。ブランド戦略経営とグローバル展開の結びつきを意図的に進めてほしい

以上が私の報告です。ご静聴ありがとうございます。
 

講師:大石 芳裕氏
当研究所顧問 /「グローバル・マーケティング研究会」代表世話人
明治大学経営学部教授

Profile:現場主義のグローバル・マーケティング研究者。コロナ前は毎年 6~10カ国を訪問し、日系企業ないし現地企業40~50社を調査して きた。国内においても企業幹部と意見交換したり事業相談に乗っ たりして実態の把握に努めてきた。「グローバル・マーケティン グ研究会」の会員は3000名を超え、毎月例会を開催している。 現在はオンライン開催だが、それでも参加者は200名を超す。 『実践的グローバル・マーケティング』(ミネルヴァ書房、2017年)、 『グローバル・マーケティング零』(白桃書房、2017年)、『ミレニ アル世代事業戦略』(白桃書房、2020年)など著書論文多数。日本 流通学会元会長、多国籍企業学会元副会長、国際ビジネス研究学会 常任理事など。

 



◇第3講「コロナ禍で立てた中期経営計画:新生BSMIへの期待」

当研究所理事/ハウス食品グループ本社株式会社 専務取締役/
ハウスウェルネスフーズ株式会社 代表取締役社長 広浦 康勝 氏


広浦氏:今回は重要な機会を頂き、誠にありがとうございます。私からは、ポストコロナにおいて重要な課題といえる、中期・長期計画の設定、さらにはビジョンの見直しの取り組みについてお話します。

我々のハウス食品グループでは、今年4月から新たに第7次中期計画をスタートさせます。この中期計画立てるにあたって、昨年1年間は、まさにグループ全体で議論をして決めてきました。そこでの論点や悩んだことを交えてそのフレームワークをお伝えしていこうと思います。
 

ハウス食品グループの概要

はじめに、ハウス食品グループの紹介です。創業は1913年で、今年で108年目に入りました。2013年に持ち株体制に移行し、ハウス食品グループ本社株式会社の下に事業会社がつながっております。20.3期の実績は、連結売上高2937億円、連結営業利益が190億であり、この規模感をご理解いただけたらと思います。

事業セグメントと主なブランド

展開している製品を事業単位で整理すると、次のような構成となります。

①香辛調味加工食品事業:創業時からのカレー、シチュー、スパイスの事業
②健康食品事業:機能性スパイス・ビタミン事業、乳酸菌等の展開
③外食事業:CoCo壱番屋
④海外食品事業:中国ではカレー、アメリカは豆腐、タイ・ベトナム・インドネシアでは機能性飲料(ビタミンが主体)を主に展開

他方、バリューチェーンの観点から、全38社(国内15社、海外23社)あるグループ会社を位置づけてみると、創業から100年ほどまでは、「製造・販売」の食品加工メーカーが主の展開領域であり、バリューチェーンの広がりはそれ程ありませんでした。しかし近年の100周年の後は、食品商社のヴォークストレーディングと業務用スパイスのGABAN、外食のCoCo壱番屋がグループに入ることで、バリューチェーンの川上から川下の領域まで視野が広がり、これまでとは異なる幅広いバリューチェーンの観点から、今回の中期計画を検討してきました。

 

第七次中期計画検討フレーム
第7次中期計画の検討においては、まず「過去のレビュー」、「環境与件」、「社会における存在意義」の確認を行い、その上で「ハウス食品グループの目指す姿」を設定しました。この「目指す姿」は、理念よりは時間軸を少し短くした、駆動目標としての目標に示すと同時に、企業理念に連動した3つの責任(①社員とその家族への責任、②お客様への責任、③社会への責任)をさらに強めていく形で、その姿とストーリーの議論を深めてきました。

特に計画スパンについては、従来の3年だけのプランでは、どうしても足元の状況に引っ張られることがあり、やはり目指すべき6年後の姿を明確にして、そこからバックキャストして計画を立てました。

環境与件の変化
コロナの影響により、食と健康に対する社会的なニーズは着実に上がり、お客様の食シーンで求められるレベルも一段とあがっています。さらにブレイクダウンすれば、家で、そして家族での食事という原点に対して非常にニーズが高まることと思います。

東日本大震災のときに、最も伸びたのはレトルトカレーでしたが、今回のコロナ禍で最も伸びた製品は、スパイスであり、家の中で調理する機会が本当に増えていること実感。また社員とその家族、社会についても、今までの延長線上で考えてはダメです。食品ロスや気候変動の問題について、私たちがどう貢献していくのかを明確にして対応する必要があることを確認してきました。

社会における存在意義・目指す姿
私たちのグループ理念は、「食を通じて人とつながり、笑顔ある暮らしを共につくる、グッドパートナーをめざします」。「食を通じて」というのはグループとしての事業領域、「笑顔ある暮らし」は届けていくもの/届けたいものを表しています。「共につくるグッドパートナーをめざします」とは、前述した3つの責任との関係を表しており、お客様の笑顔、社員とその家族の笑顔、そして笑顔ある社会をつくること目指す、ということです。

目指す姿は「『食で健康』クオリティ企業への変革」。特に、食の領域で健康価値を届ける企業群になること。目指すクオリティ企業とは、自ら新しい価値を創出して、提供し続けることのできる企業であり、お客様に対してこのような価値提供のできる企業となるべく定義しました。

「社員とその家族」に対する取組テーマ
バリューチェーンの広がりから観ると、「ダイバーシティの実現」というのはとても重要です。多彩な個性の発揮と融合に向かうため、社員においては「成長」や「豊かな生活」、組織としては「イノベーション」や「グループの成長」につなげることで、ダイバーシティの実現が達成されると思います。また前期まで掲げていた「働き方改革」を今期からは「働きがい改革」に。「働きがい改革」は、働きやすさ×仕事のやりがいの追求であり、これらをしっかり創出できるような施策を中期計画で展開していこう確認をしております。

社会に対しての取組テーマ
社会に対する取組テーマを「人と地球の健康」と設定し、CSRの視点と社会課題解決等を連動させて、次のような取り組みを行っていきます。

1.循環型モデルの構築:バリューチェーン全体で環境負荷対応を図る
  CO2の問題、廃棄ロスの問題にバリューチェーン全体で取り組む

2.健康長寿社会の実現:本業を通じた健康づくりへの貢献
  食に関わる企業だからこそ本題として取り組むテーマ

CSR視点と地域社会戦略視点等を連動させて、このテーマを設定しました。

 

お客様に対する取組ストーリー

お客様に対する取組ストーリーは事業戦略に当たるため、具体的には話せませんが、従来のセグメントではなく、今回は成長領域を明確に示した4系列のバリューチェーンにフォーカスして成長戦略を推進することを試みています。例えば、バリューチェーンごとに保有する、優位となるノウハウや技術、知見を、改めて川上から川下まで俯瞰して棚卸し、また国内からグローバルまでどこにビジネスチャンスがあり、それをつかんでいくのかを確認する。この観点から4系列で分けたバリューチェーンごとの成長戦略を明確にしていきました。

以上が、中期計画のフレームワークです。この成功へのポイントは、やはり全員で取り組むこと。全員の行動変化で、変革と向き合っていくのかが、一つのカギとなると思います。

 

新生BSMIへの期待

『私たちの目的はお客様の「うれしい、ありがとう」を創ること』。これは10年前ぐらいから社内外問わず、ずっと使っているメッセージです。

国内のマーケティング本部長をしていた頃、担当のマネージャーと共に新製品が上手くいかないことを嘆いていた時、お客様のレビューからこの言葉をみつけ、私はハッと今の目的が「新製品を出すこと」になってしまっていることに気が付きました。目的の置き所は非常に重要で、それ以来私の目的は「お客様の嬉しい、ありがとうを創ること」であり、これを私たちの最大の喜びにしたいと、ずっと確認してきました。

これは新生BSMIについてもいえることではないかと思います。
直接お客様とつながってはいませんが、どこかでBSMIが発信したことがつながり、最終的にはお客様の声につながっていく。様々な活動や企画、方針の決定の際に、このことを頭の片隅に置いて、BSMIのマネジメントを続けてほしいと思います。本日は、どうもありがとうございました。

 

講師:広浦 康勝氏
当研究所理事/ハウス食品グループ本社株式会社 専務取締役/
ハウスウェルネスフーズ株式会社 代表取締役社長(2021.3.19時点)

Profile:1978年 ハウス食品株式会社入社。エンジニアとして15年、製造設備、生産技術、生産管理に携わり、その後、マーケターとして製品開発、マーケティングを13年経験。2006年から取締役マーケティング本部長。2012年国際事業本部長。2013年専務取締役。R&D統括、経営企画部、品質保証統括部を担当。2018年からはハウスウェルネスフーズ株式会社 代表取締役社長を兼務。現在に至る。日本技術士会会員。NPO法人MCEI東京理事長。一般社団法人日本市場創造研究会副会長。ブランド戦略研究所理事。和歌山県出身。趣味はアマチュア無線

 


◇総括

今回の新生「一般社団法人ブランド戦略経営研究所」発表記念講演会・第2弾は、「ポストコロナにおけるビジネス環境とブランド戦略」をテーマとして、4名の講師の方々からそれぞれお話しをいただきました。ご講演いただきました4名の講師の皆様をはじめ多くの皆様のご参加、ご協力により本記念講演会を盛況のうちに終えることができました。あらためて厚くお礼申し上げます。

 

2021/06/03

定例研究会開催レポート

お問合せ


〒564-8680
大阪府吹田市山手町3-3-35
(関西大学商学部陶山研究室内)
 TEL:06-6368-0665
 FAX:06-6339-7704

管理画面

powerdby