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【開催レポート】2017年11月度 東京第11回フォーラム

IoT&グローバル時代に求められるブランド戦略と顧客コミュニケーションの革新

一般社団法人 ブランド戦略経営研究所では、毎年恒例の東京第11回フォーラムを11月21日(火)関西大学東京センターで開催しました。テーマは「IoT&グローバル時代に求められるブランド戦略と顧客コミュニケーションの革新」です。

IoTやAI(人工知能)など革新的なテクノロジーの登場により「第四次産業革命」「第三次IT革命」が到来しつつあり、消費者のライフスタイル、価値観、購買行動に変化が起きています。従来型の技術やマネジメントの延長上では今後の市場対応や競争優位の戦略構築が難しくなってきています。競争戦略、マーケティング戦略、ブランド戦略の変革を余儀なくされています。

今回の東京第11回フォーラムは、「IoT&グローバル時代に求められるブランド戦略と顧客コミュニケーションの革新」をテーマとして設定しました。新しいテクノロジーと向き合いながら、グローバル時代に対応したブランド・コミュニケーション、顧客コミュニケーションをどのように構築していくべきなのか掘り下げていきました。

今回は講師の横山氏(元ハイアットリージェンシー京都総支配人)が欠席となり、急遽中央大学大学院の田中教授(当研究所顧問)に対応していただきました。パネルディスカッション、懇親会にもご参加いただき、活発な議論と交流が交わされました。

主催者開会の挨拶

高木克典 当研究所 事務局長(マックス・コム株式会社 代表取締役)の司会のもと、まず当研究所の陶山理事長より東京第11回フォーラム開催のご挨拶及び当研究所の事業概要説明と今回のフォーラムの解題がありました。

オープニングスピーチ

一般社団法人ブランド戦略経営研究所 理事長 陶山計介

当研究所も設立6年目(前身のブランド戦略研究会からは16年目)に入り、「経営-マーケティング-知財の三位一体化」を目指し、ブランドスペースの提供をミッションに掲げ、調査、研究活動を行っています。

スマートフォンの普及によって、“いつでもどこでも”情報が手に入る時代に突入したことで、ますます「強いブランドづくり」が重要になっています。ブランド・コミュニケーションは、企業の自己イメージとしてのブランド・アイデンティティと、消費者が企業に対しても連想するブランド・イメージを近づける手段です。持続的成長を可能にするビジネスモデルとブランドの構築のために、どのようなコミュニケーション空間をマネジメントできるかが試されています。

今日のテーマ設定にあたって、時代の変化のもと3つの論点があると思われます。

①ブランドを構成する適切な情報の伝え方
②ラグジュアリーブランドの戦略とコミュニケーション課題
③ブランド戦略における “構想” “マーケティング” “コミュニケーション” の重要性

が提起されました。

第1講「IoT&グローバル時代に対応したブランド伝え方」

ダイキン工業株式会社 総務部広告宣伝グループ長 部長 片山義丈氏

片山講師からは、ブランドを「お客様の頭の中に自然とできた企業/商品に対する勝手なイメージ(妄想)」と定義し、ブランド本来の識別するマークとしての機能的価値に、情緒的価値を付加するブランディングについて、グローバル企業の視点からお話しいただきました。

ダイキン工業は「最適な空調環境の提供」を目的として、冷媒による環境影響(オゾン層破壊影響(ODP)や総合的な温暖化影響)はもちろんのこと、経済性、エネルギー効率、安全性などあらゆる角度から検討しているグローバル企業として注目されています。

国内外を問わず、ブランディングの重要性を理解した人材の育成・確保が急務である背景や苦労話を交えながら、様々な取組を紹介されました。

・ブランドはいらないと考える社内の意識改革
・デザインとブランドが対立した例
・海外でのブランド不統一の例

ブランド・イメージを構成する情報を、ブランド・シンボルマークを軸としターゲット設定などの精度により効果測定ができるツールとして「オウンドメディア」「アーンドメディア」「ペイドメディア」を戦略的に組み合わせて発信しているとのこと。生活者は莫大な情報、処理しきれない量の情報の中で、不用な情報にバリアを張っている現状があります。これを打開するために、最適な広告、“自分ゴト化”したコンテンツを提供することで、ブランド・イメージと顧客コミュニケーションを効率的に構築しようとされています。

片山義丈氏
ダイキン工業株式会社 総務部広告宣伝グループ長 部長

Profile:1988年ダイキン工業株式会社入社、総務部宣伝課、1996年広報部 広報担当、2000年広報部広告宣伝・WEB担当課長を経て2007年より現職。 業界5位のダイキンのルームエアコンを一躍トップに押し上げた新ブランド「うるるとさらら」の導入や、ゆるキャラ「ぴちょんくん」ブームを仕掛ける。トリプルメディアによる統合化型マーケティングコミュニケーションを中心としたブランド構築を推進。
第2講「グローバルブランドの日本・アジア戦略と今日的コミュニケーション課題」

デッカーズジャパン合同会社 オンラインプロデューサー 安達満氏

安達講師からは、パリ三越、ルイ・ヴィトンジャパン、エルメスジャパンでの経験をもとに、グローバル化に伴うラグジュアリーブランドの変遷、戦略、コミュニケーション、顧客管理についてお話しいただきました。

今日、ラグジュアリーブランドがコングロマリット戦略をとり、市場を拡大しているように見えますが、その目的は安定した資金調達と、財務を公開せずに済むためであり、ファミリー経営を維持するための戦略だといえます。

さらに、ラグジュアリーブランドの伝統的なコミュニケーションは「売るため、宣伝するためのコミュニケーションを行わない」という一般的なマーケティングとは相反するものでしたが、インターネットの普及により、新興ブランドが出やすい環境になり、マス消費者に向けたコミュニケーションの対応をせざるをえなくなっています。

こうしてグローバル化が進んでくるとラグジュアリーブランドの顧客管理は、従来の管理体制が国単位から、APAC、EMEA、ヨーロッパ、ノースアメリカ、サウスアメリカなどエリア毎の単位での管理・運営が必要になり、CRMもセールスフォース(Sales Force)、シーベル(Siebel)、さらにデマンドウエア(Demandware)などの顧客管理システムを導入しています。日本でも、苦戦しながらグローバルな顧客管理システムをようやく導入しつつあります。

プレミアムブランドは、ベターを目指しているのに対して、ラグジュアリーブランドは、最高級で唯一無二な希少性が売りです。ルイ・ヴィトン、エルメスなどの老舗メゾンのブランドの根幹は、あくまでデザイナーやメゾンの世界観であり、極論を言えば顧客も競合もブランドの根っこの部分では意識しない、オンリーワンの世界観を築くことです。

そのブランド・コミュニケーションも今日の状況の中では孤高を保つだけでなく、グローバルな対応をしながらグングン進めています。核の部分をきちんと保つことで、時代変化の対応はどんどんしていく、ということが安達講師の豊富な事例から伺うことができました。

安達満氏
デッカーズジャパン合同会社 オンラインプロデューサー

Profile:早稲田大学大学院商学研究科修了。三越、フランス三越の後、ルイ・ヴィトンジャパン、ロクシタンジャポン、エルメスジャポン、日本ロレアルでのブランド管理に従事、ヘンケルジャパンではE コマースの立ち上げからCRM、デジタルマーケティングの立案などを行い、現在デッカーズジャパン合同会社に在職。
第3講「『ブランド戦略論』ご案内」

中央大学大学院 戦略経営研究科 教授 田中洋氏

急遽ご登壇いただいた田中先生からはブランドに関する本格的体系書としては日本初ともいえる『ブランド戦略論』(12月発売、田中洋著)の紹介を主眼に置き、ブランド構築を経営、マーケティング、コミュニケーションの三段階に分けて考察、ブランドの基本的な「理論」を示していていただきました。

ブランド戦略における“構想”、“マーケティング”、“コミュニケーション”の重要性を説き、Disney Recipe、Red Bull、住友不動産「新築そっくりさん」、無印良品のブランド構想の事例を紐解きながら、ブランド戦略の原点を再確認する時間となりました。

田中洋氏
中央大学大学院 戦略経営研究科 教授

Profile:博士(経済学)京都大学。Southern Illinois University at Carbondaleにてジャーナリズム修士号。㈱電通でマーケティングディレクターとして21年間実務を経験。1996年からアカデミアへ。城西大学経済学部助教授、法政大学経営学部教授、コロンビア大学ビジネススクール・客員研究員などを経て2008年より中央大学ビジネススクール(専門職大学院戦略経営研究科)教授。2017年4月より日本マーケティング学会会長
◇パネルディスカッション
パネリスト:
片山義丈氏:ダイキン工業株式会社 総務部広告宣伝グループ長 部長
安達満氏:デッカーズジャパン合同会社 オンラインプロデューサー
田中洋氏:中央大学大学院 戦略経営研究科 教授
コーディネーター:陶山計介 当研究所理事長・関西大学商学部 教授

陶山理事長による進行のもと、三人の講師と今回のテーマに沿ってディスカッションがなされました。

新しいテクノロジーの登場により、様々な変化が起きている中でどのようなファンによってブランド・コミュニティが形成されているのか。その中ではブランドの守るべきコア・アイデンティティと拡張アイデンティティの区別が重要ではないか。コミュニケーションは変化したのか、変化しなかったのか等がディスカッションの論点になりました。

また参加者の皆さんからは

①田中先生の「構想」の概念について
②海外でのブランドと製品を根付かせるための方法について
③海外取引が増加する中で、ブランドのグローバル化とローカル化をどうしているか
④グローバル化の中でブランド・パーソナリティをどこまでつくっていくか。

と講師陣に質問し、活発な質疑応答がなされました。

最後に、本日の講演やパネルディスカッションを通じて得られた気づきについて、講師のお三方にお話しいただきました。

◇閉会の挨拶

最後に、閉会の挨拶として、高木事務局長・理事からフォーラムの簡単なまとめと講師、参加者の皆様への謝意が述べられ、無事閉会となりました。

◇総括

今回の東京第11回フォーラムは、IoT&グローバル時代の到来により、顧客コミュニケーションの革新が迫られている中、一律にブランドパーソナリティをグローバル化するのではなく、文化やターゲットの特性でよって消費者のブランドイメージ(妄想)が異なるため、それぞれに合った情報をマネージメントしていくことが求められています。ブランド、消費者、経営戦略の三者三様な関係性が見えてきたように思います。

片山講師、安達講師、田中先生は論旨明快で歯切れが良く、たくさんの笑いも起き和気あいあいとした講演となりました。その後のパネルディスカッションはすべての参加者に深い感銘を与え、大変貴重な機会になりました。ご講演いただいた三人の講師には厚くお礼申し上げます。

2017/12/15

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