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【開催レポート】2022年11月度 東京第21回フォーラム

ダイバーシティ&インクルージョンを通じたブランド価値向上:
グローバル化、リーダーシップ、理念
 
「一般社団法人 ブランド戦略経営研究所」では、関西大学との共催および関西大学東京経済人倶楽部の後援で「東京第21回フォーラム」(「第8回 関西大学丸の内ゼミナール」)を2022年11月1日(火)に開催しました。今回のフォーラムのテーマは「ダイバーシティ&インクルージョンを通じたブランド価値向上:グローバル化、リーダーシップ、理念」です。
 

今回のフォーラムでは、ダイバーシティ&インクルージョンを通じたブランド価値、共創価値の向上や人的資本経営をどのように実現していけば良いか、日本企業のグローバル化、リーダーシップ育成の課題、そして異文化コミュニケーション環境下における企業理念の役割や、インターナルブランディングの重要性などについて議論するため、この分野の最先端で精力的に活躍しておられる三人の講師をお招きしました。

冒頭、関西大学副学長/国際部長の藤田髙夫氏から開会の挨拶をいただき、陶山理事長から本フォーラムの解題提起を受けて、3名の講師より講演をいただきました。その後、陶山理事長のコーディネーターによるパネルディスカッションを行いました。

 

◇開会の挨拶

高木 克典 当研究所事務局長(マックス・コム株式会社代表取締役)の司会のもと、杉本 仁嗣 関西大学東京センター事務長よる主催者のご挨拶からフォーラムは開始しました。

まずは藤田 髙夫 関西大学副学長/国際部長より開会のご挨拶をいただきました。

本フォーラムのテーマであるダイバーシティ&インクルージョン、そしてブランド、グローバリゼーションといったテーマは、企業だけでなく大学でも取り組むべきテーマであり、また総合大学である関西大学の強みを生かすために重要なテーマでもあります。ご挨拶の中では、「関西大学ダイバーシティ推進宣言」の取り組みや、コロナを機に新しい教育の場として確立されたオンラインにおける国際化の状況を紹介いただき、これらダイバーシティ&インクルージョンへの取り組みや姿勢を通じた、大学のブランド構築の重要性についてお話いただきました。

 

主催者開会の挨拶・オープニングスピーチ

一般社団法人 ブランド戦略経営研究所 陶山 計介 理事長

続いて主催者オープニングスピーチとして、陶山理事長より東京第21回フォーラム開催のご挨拶、及び当研究所の趣旨・事業概要、テーマ&トピックスについて説明がなされました。

陶山理事長:

トップマネジメント、マーケティング、広告、広報、知財などのビジネスに役立つオールジャパンの全く新しいシンクタンクとして、2012年に設立された一般社団法人ブランド戦略研究所(BSI)は、2020年11月の活動10周年を機に、現在の一般社団法人ブランド戦略経営研究所(BSMI)に名称に変更しました。

 

BSMIへの名称変更を機に、マーケティング戦略と知財戦略の2つを柱としたミッションを、今日の状況に照らしてその間口を広げ、人材開発戦略、営業戦略、生産戦略、研究開発戦略、財務戦略などの機能戦略を連携させながら、ブランド戦略経営を推し進めていくこととしました。ブランド戦略経営に関する調査研究、教育研修、普及活動の拡充、出版広報活動、また関西大学・企業との連携・交流も活発化に今後も取り組んで参ります。

 

『インターナルブランディング』(中央経済社, 2021)、『地域創生マーケティング』(中央経済社, 2021)、また2022年12月下旬に刊行予定である『地域創生と観光』は、BSMIの調査研究の成果の一部です。コロナ禍で観光・旅行業界は非常に苦しい状況に陥ってきましたが、インバウンドがようやく再開する中で、自律的な社会の創生や業界のイノベーションの方向性などについて論じています。もちろん、プライベートブランドの動向など、ブランド戦略の本流についても知見を深めております。

 

それでは本日のテーマ・趣旨・トピックスについてお話します。

SDGsの17のゴールと169のターゲット、232 の指標のなかで生物多様性、自然や文化の多様性、ジェンダー平等、ヒトや国の不平等の解消、働きがいなど「だれ一人取り残さない」という持続可能で、ダイバーシティ(女性、若者や高齢者、LGBTQ、外国人、障がい者の多様性)とインクルージョン(包摂性)のある社会の実現が重要なキーワードのひとつになっています。

こうした中で経済産業省は、「多様な人材を活かし、その能力が最大限発揮できる機会を提供することで、イノベーションを生み出し、価値創造につなげていく経営(=ダイバーシティ経営)」、組織内の個々の人材がその特性を活かし、生き生きと働くことのできる環境を整えることによって、自由な発想が生まれ、生産性を向上させ、自社の競争力強化につながる、といった一連の流れを生み出しうる経営を推奨しています。

また経済産業省は、ESG投資に向けたビジネスモデルや経営戦略における経営資源としての「人材」に着目しながら、多様な個人が活躍する人材ポートフォリオを構築する「人的資本経営」も同じく推進しています。そこで、「ダイバーシティ&インクルージョン」が、企業の組織活性化やイノベーションの促進、ブランド戦略経営や持続的競争優位の構築といかに関連するかなどについて考えていきたいと思います。

 

本日のフォーラムのトピックスは次の4つです。

  1. ダイバーシティ&インクルージョン(多様性&包摂性)経営が登場した背景、指標、意義は何か。
  2. ダイバーシティ&インクルージョン経営、はどのようなパス、プロセスを通じて、企業の生産性や従業員のパフォーマンスの向上、イノベーション、サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)、そして企業の競争優位につながるのか。
  3. ダイバーシティ&インクルージョンは企業のブランド価値の向上やブランド戦略経営の実現にとって有益なものか。またインターナルブランディングやパーパス・ブランディングとの関係はどうか。
  4. ジェンダー・女性の活躍推進と並んでとくに日本企業が苦手と言われる外国人の積極的な登用、異文化経営やグローバル化を進めていく上で必要な観点や条件、経営者・リーダーの役割は何か。

 

ダイバーシティ&インクルージョンは近年急速に注目されてきました。以前は外資系企業においてダイバーシティ&インクルージョンが話題になっていましたが、2017年に策定された経済産業省の『ダイバーシティ2.0 行動ガイドライン』(2017年3月策定、2018年6月改訂)をきっかけとして、国内の様々な企業・分野において取り上げられるようになりました。

ダイバーシティとは、女性、外国人、高齢者、障がい者、子育て中の社員など様々ありますが、船越多枝『インクルージョン・マネジメント』(白桃書房, 2021)においては、ダイバーシティは次のように分類されています。

  • 表層的ダイバーシティ-性別、肌の色など可視的
  • 深層的ダイバーシティ-学歴、スキルなど不可視
  • カルチュラル・ダイバーシティ-民族、社会階級、宗教、国籍、性的アイデンティティ

 

また経産省の「ダイバーシティ2.0 行動ガイドライン」においては、ダイバーシティ経営推進のポイントや実践に向けたアクション、さらに企業価値への効果として①グローバルな人材獲得力の強化、②リスク管理能力の向上、③取締役会の監督機能の向上、④イノベーション創出の促進、を示しています。ここからダイバーシティを推進することが、企業の成長性や収益性の向上につながることが理解され始めてきたのです。

一方、ダイバーシティと共にインクルージョンの推進も不可欠です。インクルージョンとは、「社員が仕事を共にする集団において、その個人が求める帰属感と自分らしさの発揮が、集団内の扱いによって満たされ、メンバーとして尊重されている状態」(船越多枝(2021)『インクルージョン・マネジメント』)を指し、多様性が増大するほど、集団は分散化するため、インクルージョンをどのように進めていくのかも課題です。

ダイバーシティ経営と生産性向上のメカニズムは、リクルートワークス研究所(2016)『わかるできる生産性向上人事』の中で示されており、生産性はイノベーションと時間効率的な働き方によって決まります。ここにダイバーシティ経営がどのように関係するのか、後の講義も踏まえて議論していきたいと思います。

また外国人登用の現状と課題については、文化的ダイバーシティが業務パフォーマンスに与える影響という観点から考えてみたいと思います。実はダイバーシティの進展は、業務パフォーマンスを向上させる場合と阻害する場合の相反する結果をもたらします。生産性やパフォーマンスの向上は、ダイバーシティ・インクルージョンを推進する企業や大学、官公庁を含めて重要な課題です。

こうした生産性やパフォーマンについてはインターナルブランディングの観点からも研究がなされています。社内の人的資源管理、コミュニケーション、コミュニティの形成、そして社内外のステークホルダーと共に、従業員がいかにブランド共創を行うか、企業のビジョン・ミッション・バリューをどのように体現していくか。これにより従業員のパフォーマンス向上はもちろん、企業全体の経営成果も向上していきます。

以上のようなトピックスを、これから講師の方とのお話の中で深堀していけたらと思います。

陶山 計介 当研究所理事長
Profile:一般社団法人ブランド戦略経営研究所理事長。関西大学名誉教授。京都大学博士(経済学)。『ブランド・エクイティ戦略』(共訳著、ダイヤモンド社)、『日本型ブランド優位戦略』(共著、ダイヤモンド社)、『よくわかる現代マーケティング』(共編著、ミネルヴァ書房)『インターナルブランディング:ブランド・コミュニティの構築』(共著、中央経済社)、『地域創生マーケティング』(共編著)などブランド・マーケティング研究の第一人者。日本商業学会元会長。

 

第1講「SUCCESS-Osakaが取り組んだ留学生のキャリア形成支援」

一般社団法人Transcend-Learning理事兼事務局長 吉田 圭輔 氏

吉田講師からは、多様な留学生・外国人人材を活かし、その能力を最大限発揮できる機会を提供することで、日本でのイノベーションを生み出し、価値創造につなげていった事例とそのプロセスを紹介していただきながら、海外人材獲得のための社会貢献・SDGs課題プロジェクトの重要性や、世界の学生から日本を選んでもらうためのポジショニング、企業と大学の連携により目指すべきダイバーシティの姿、についてお話いただきました。

吉田講師:

私はもともとエンジニアで、愛知県でモノづくりの仕事に携わっていました。外国人と一緒に仕事をする中で、次第にモノづくりから人づくり(育成)に興味が移り、教育にこだわるベンチャー企業に転職しました。ネパールや台湾、韓国などの異国籍・異地域の方と共に留学生支援に取り組む中、関西大学から、文科省の委託事業である留学生の就職促進事業コーディネーターとしてオファーをいただきました。

文科省の委託事業では、関西大学を中心に、大阪大学、大阪公立大学(大阪府立大学、大阪市立大学)と連携して、留学生の就職支援事業(SUCCESS-Osaka)を推進してきました。同事業は日経新聞の記事で取り上げられ、文科省の委員会でも高い評価を得たこともあり、今年2022年4月以降は、連携大学を拡大する運びとなりました。

現在のSUCCESS-Osakaは、留学生就職支援コンソーシアムSUCCESSとして名称を変更し、発起人である関西大学・大阪大学・大阪公立大学の3大学を中心に、16の正会員大学と、賛助会員を加えたコンソーシアムであり、ダイバーシティ、多様性活躍社会をコンセプトに連携しています。一般社団法人Transcend-learningはこれを支える法人組織であり、企業との連携から様々なシナジーを生み出し、革新的な取り組みを行っています。

 

はじめにダイバーシティとは何か、説明するよりも写真を見てもらう方が早いと思います。このような組織の姿は日本でもつくられるでしょうか。SUCCESS-Osakaでの取り組みは、写真に示すような多様な外国人留学生・外国人人材の在り方を、日本の企業・大学において創り出すことを目指しています。

6年前に文科省から事業委託を受けた際には、「就職率」を上げてほしいと言われました。しかし最近感じていることは「日本で就職を希望する留学生」が上がりきらない、あるいは下がり始めていることです。就職を希望する留学生が減少すれば、就職率は上がりません。したがって働き方、そして学び方も含めて、日本のポジショニングが問われているのです。
国内の出生者数は減少し、外国人人材の日本企業離れも進む中、企業は人材を選ぶ立場から選ばれる立場に変わりつつあり、ダイバーシティというキーワードに真剣に向き合わないといけない時代に入っています。

毎年約500万人におよぶ世界中の留学生を獲得するため、日本では受入目標を設定(2020年までに30万人受入)していますが、受入国トップ2のアメリカ・イギリスはもちろん、マレーシアなどの受入ルーキー国もこれを設定しており、各国で留学生の争奪戦が繰り広げられています。この中で日本が選ばれるキーワードはどのようなものでしょうか。

コロナ禍において、韓国ではK-popやドラマといった文化を背景に留学生は増加しました。また、就職先とセットで留学先を選択できるよう、大学・企業の連携も重要です。このように日本のポジショニングを明確にしなければ、欲しい人材の獲得はできません。

一方、日本の中小企業の多くは、外国人雇用に消極的です。必要になれば外国人の雇用を検討する、あるいは言語や生活習慣の違いを雇用のハードルと捉えていますが、これは世界の流れと相反します。実際には、雇用へのネガティブ要素は、その前の大学教育において、ポジティブな要素へと変えることができるのです。以下から、外国人人材・留学生のネガティブ要素をポジティブに活用した実例を紹介しながら、本フォーラムでダイバーシティを考える切り口にしたいと思います。

 

外国人留学生とのプロジェクトから生まれた課題解決事例

1.留学生との話し合い・調査を通じた、ネパールのIT・技術系人材紹介サービス事業の新規創設

「Future Design Project」はSUCCESSの取り組みの一つであり、留学生が自国の社会課題を研究し、解決に向けたビジネスプランを企業と半年間をかけて一緒につくる研修プログラム。同プログラムにおいて、南海不動産では、ネパール留学生との話し合い・調査を起点として、IT人材輩出の新興国であるネパールの人材紹介サービス「Japal(ジャパール)」という新規事業の創設に至った。

 

2.留学生による社員研修&インターンシップモデルの構築

多くの訪日外国人客が見込まれる大阪・関西万博に向けて、社員の語学力だけではなく、異文化理解力やホスピタリティの向上が求められる中、帝国ホテル大阪では、留学生と一緒に社員研修&インターンシップモデルを構築。①現場スタッフ(職業体験のマネジメント)、②職業体験をする留学生、③日本語を学び・日本で就職を目指す留学生(現場スタッフのメンター役)の3者からなる、社員研修&職業体験プログラムでは、③メンター留学生による自国地域の視点から業務改善の報告・提案がなされPDCAを実現。

 

3.インターンシップを通じた海外人材活用の課題発見、社会貢献・SDGsプロジェクトによる高度人材獲得

京阪ホールディングスでは、海外人材の採用・ダイバーシティに本格的に取り組むにあたり、まずは人事部も参加して半年間かけてビジネスモデルをつくるインターンシッププログラムを実施。ここでの学びを踏まえた2年後に、海外人材活用を本格的に開始。留学生・海外人材は、自分のやりたいこと(Will)を強くもち、就職軸としてWillを実現するために「事業内容」に重きを置く。今後、学生のキャリア教育としてSDGsの探求が組み込まれていくことも意識し、社会貢献・SDGsプロジェクトを通じた人材獲得が必要。

 

4.SDGs探求思考ブックの出版

社会貢献やSDGsが新しい就職軸になるのであれば、企業利益にもつながるSDGs課題探求に向けた教育を展開する必要があると考え、留学生向けの「SDGs課題から考える探求思考ブック」を出版。留学生は本書を読んで企業にアプローチできる。他方、本書ではSDGsの企業実践の紹介もしており、社員は、自社の取り組みが書店に並ぶ本に載っていることで、家族との会話や本人のモチベーションアップにもつながっている。

 

5.外国にルーツを持つ子供と留学生・企業とのつながり

ダイバーシティ推進のために今取り組むべきことは、アンコンシャス・バイアス(思い込み・無意識の偏見)の解決であり、このバイアスを最も多く受けている外国人労働者の子供たちへの支援が必要。外国にルーツをもつ子供たちの語学教育を、留学生がオンラインで支援する活動が大阪の小中学校で実現。ここに企業の問題(日本に付加価値を与える人材の獲得)も接続させ、上記の教育プログラムを実施した人材に日本で活躍してもらうよう試みた。子供たちを支援する成功体験が、日本でのアイデンティティの明確化につながり、国内で活躍するマインドを醸成させることができた。

 

6.ポイント制・インターンシップによる主体性・決意を持った人材獲得

SUCCESS-Osakaのインターンシップはポイント制。大学の単位とはならないが、このポイントが高い学生は内定率も高くなり、企業の欲しい人材になっている。

 

人は資本という考え方の元、日本企業の強靭化に向けて、いかに目指すべきダイバーシティの姿をつくることができるかが、今問われているのだと思います。

 

今後のTranscend-Learningの展開として、現在アプリの開発を進めています。学生はアプリから様々な就職体験をし、プロジェクトを通じて企業を知り、日本での成功体験を作ってもらいたいと思います。一方で日本のポジショニングは産学連携で一緒に考えてつくって行かなければなりません。そのために大学・企業関係者が連携する「産学連携サロン」を東京と大阪で開催いたしますので、ぜひ皆さんご参加ください。

吉田 圭輔 氏
一般社団法人Transcend-Learning 理事兼事務局長
Profile:慶應義塾大学卒業。大手自動車メーカーの開発・設計を経て、東京大学発のベンチャー企業である株式会社トモノカイに入社。外国人留学生の支援の事業に従事。2017年からは関西大学において、文科省委託事業の外国人留学生就職促進プログラムの開発に努め、全国の大学の中で唯一の最高評価の獲得に貢献。各種メディアを巻き込む事業企画にも定評がある。現在、発足した留学生就職コンソーシアムSUCCESSの企画運営法人、一般社団法人Transcend-Learningの理事兼事務局長を務める傍ら、大阪観光局の留学生コンソーシアムの外国人留学生就労部門委員長としても活動に尽力。2022年には関西経済連合会主催の財界セミナー、ダイバーシティ分科会へ招待され、産学連携にも力を入れている。

 

第2講「グローバル企業における日本人経営者の課題」

Executive Coach & Guide 代表 宮原 伸生 氏

宮原講師からは、グローバル企業における長年の経験をもとに、パーパスやビジョンを世界中に浸透させて進める変革、ダイバーシティの推進、リーダー育成の仕方などを紹介いただき、そこから見えてくる日本人リーダーの課題、異文化コミュニケーション環境下における理念の役割、インターナルブランディングの重要性などについてお話しいただきました。

宮原講師:

私は、数年前にグラクソ・スミスクライン(GSK)を退き、現在はビジネスマンのコーチングや、大学生にビジネスの面白さを伝える教育を行っています。キャリアのほとんどはグローバル企業や外資系企業ですが、顧客やパートナーは日本企業であり、そこで日本とグローバルとの違いを感じていました。

本日はGSKを例に、パーパスやビジョンをどのようにグローバルに浸透させてきたのか、エバンジェリストとしての実体験と所感を踏まえた、示唆と学びについてお話します。その中でブランド理念やリーダーシップ、ブランド主導型HRMなど、インターナルブランディングの構成要素について考えたいと思います。

はじめにGSKは、英国を代表する長い歴史をもつ製薬企業であり、様々な企業との合併を経て2000年にGlaxo SmithKlineに統合されました。2021年のグループ総売上は5兆6,000億で、その構成は医療用薬品(52%)、ワクチン(20%)、コンシューマーヘルスケア(28%)となっています。日本における主な消費財ブランドはOTC商品・オーラルケア商品ですが、世界ではさらに様々なカテゴリーのブランドがあります。

サイエンスに秀でたグローバルヘルスケアグループであるGSKは、パーパス・バリューに強いこだわりがあります。また市場変化に応じて、企業のカルチャー・ポートフォリオを繰り返し変革してきました。大規模な事業売却や、事業スワップ、ジョイントベンチャー設立など、パーパスやビジョン・ミッションと照らして、積極的に事業を見直しています。

 

GSKのインターナルブランディングの手法を端的に表現すると「人を介したグローバルキャスケード(上からの情報伝達)」であり、リーダーを通じてパーパスやビジョン・ミッションを伝えることが基本です。つまり、全ては啓発力の強いトップから始まります。

現在のグループ全体のCEOであるEmma Walmsleyは、早い時期からTalent War(=人材獲得競争)を意識して、Modern Employer(=現代的で先進的な企業)を目指し、雇う側の変化を推進してきました。そのために言葉や表現に徹底的こだわった経営を実践し、言葉を通じてカルチャーを変革してきたのです。リクルート向けに発信するメッセージは素晴らしく、GSK創設時のから社員に長く愛されているミッションステートメント “To help people do more, feel better, live longer.”を掲げています。

グループCEOに彼女が任命された2017年当時は、サイエンスのバックグラウンドがないことへの反感・反論があり、株を手放す機関投資家もいましたが、結果的にはここ10年余りで大きな成功を収めました。それは、彼女の強力な啓発力のほか、冷静かつ客観的な分析力や判断力にあったと思います。

近年のグローバル企業では、トップに哲学や文学の素養が求められると聞きますが、彼女もその典型で、大学ではイギリスの古典文学を専攻し、言葉の力を信じて、変革を促していました。そして、かつてと比べると、ただ社員を駆り立てるのではなく、啓発やストーリーテリングを重んじたり、CSR的なことではなく、正しい判断のためのダイバーシティ推進、トラストの重視、長期ビジョンへの投資など、会社が質的な転換を遂げていきました。

GSKの「人を介したグローバルキャスケード」の特長は、“上から変わる”こと。
まずはリーダーが、お題目ではなく、自らが信じ、解釈し、使い込んだストーリーを語れる伝道師になることです。GSKではリーダー同士のサポートや学びあいを奨励し、リーダーシップトレーニングに大きく投資し、リーダーの自己変革の場をデザインしていました。

他方、シニアチームの強化についても、グローバルのリーダーシップチームから始め、アジア太平洋地区のチーム、私がいた日本/韓国など各エリアのチームと、外部コンサルを使いながら、上から順にチームのリーダーシップ力を強化し、1年程かけてHigh Performance Team (HPT) を作り上げるプロジェクトもありました。

リーダーを強化・育成していくために、まずはあるべきリーダー層をどう定義していくかが重要でした。世界共通に、リーダーが持つべき6つの条件を掲げ、それを採用・昇進・育成などの場面で使っておりました。その条件とは例えば、“Set Direction & Inspire” (方向性を定め、チームを啓発できること) とか、”Release Energy“ (チームのエネルギーを創出できる)とかです。

また、リーダー層のトレーニングにはかなりの投資をしておりました。例えば下記のような場面が思い起こされます。

●顧客・最先端の視点から自社を見直す
最大の顧客であるウォルマートのチーフバイヤーを招待し徹底的に議論。あるいはNASAのプロジェクトマネージャーを招待し、リスク管理やプロジェクトマネジメントについて語る。

●オーケストラ指揮者から自分の役割を学ぶ
本物のオーケストラを呼び、指揮者によって音楽がどのように変わるか、また実際にタクトを振る体験からリーダーとしての役割や、自らの行動が組織に与える影響を学ぶ。

●リーダーたちの共鳴から世界を変える
リーダーの啓発と共鳴で世界を変え、ブランドを広げる。数百人のリーダーに向けて、Accelerator(=変化を加速させる人)として世界を変えていくための啓発会議(USA, 2018)。 “今伝える”ために、その場で自らのビデオをスマホで撮り、直属のメンバーに送ることも。

 

リーダーシップの啓発、チーム力の強化と同時に、HR(=人事)の変革も重要でした。
2015年にHBRに発表された論文 “People Before Strategy: A New Role for the CHRO ”は、CEOを支えるHRの役割やポジション、その在り方を問いかけました。従来は財務CFOがCEOのサポート役と考えられ、HRは、その役割を軽んじられてきましたが、この論文をきっかけにグローバルにおける状況は変化したと聞きますが、GSKも同様の動きを見せたと思います。

HRは、福利厚生や給与といったオペレーションではなく、ダイバーシティやエンゲージメントへの戦略的役割をもつこと。またHRはエンゲージメントに直接関わるのではなく、それを高めるリーダーをサポートするパートナーであること。この役割と関係性の2つの変化は、大きな転換でした。

GSKでは、この時代にCEOを支える2人の強いHRリード(女性)がいて、Chief People Officerとしてエンゲージメントやダイバーシティの戦略を、粘り強く実践に移してきたことがとても印象に残っています。

ここまではリーダー層に通じたインターナルブランディングですが、実際の現場ではどのように伝えれば良いでしょうか。リーダーの言葉だけで伝わるのかは疑問です。

ブランドのミッションを伝える工夫の一つは、実例の映像、オーセンティックなビジュアルを用いることでした。実際、歯科医の先生が研究用に記録していたビデオを、許可を得て、営業会議でみせました。ビデオは、歯を失ったことで運動機能・生活が悪化してしまった高齢男性が、義歯ケアによる咀嚼力の回復を通じて、歩行や日常会話を取り戻し、やがて本人の気持ちや人間関係の改善にもつながっていく、という映像。これはまさにGSKのブランド体現であり、特に若い人に、このミッションが良く伝わりました。

またブランドのタッチポイントに直接影響を与える社員のパフォーマンス管理・ノウハウ共有が重要です。
GSKはオーラルヘルスに強いブランドであるため、歯科医院はCX全体を考えると重要なタッチポイント。ここを訪問して歯科医師・衛生士に商品紹介や情報提供、サンプル配布を行うチーム・デンタルディテーラーは、ブランドへの思いが強く、ブランドを信じるからこそ歯科医師・衛生士に信頼され、さらには自分がブランドを支えていると感じています。このデンタルディテーラーのチーム管理のノウハウは世界中で共有されているほど重視されております。このようなブランドを信じ込んだ社員のチームがブランドを流布していく事例は他社でも聞きますね。

オフィス環境は、会社の雰囲気や価値観、ミッションを体現しています。全体のデザインは、GSKの考え方で統一されており、世界中どこのオフィスでも同じ雰囲気を感じます。社員、クライアント、様々なステークホルダーが訪れるオフィスは、コミュニティであり、ブランドを感じてもらう重要な要素です。これは他のグローバル企業でも共通しています。

以上、グローバル企業の進化を促進する要因には、次の3つがあると思います。

1)トップ企業間の学び合いと人材の異動
Googleやシリコンバレー企業といった先端企業を研究。またリーダーレベルの人材をGoogleやウォルマートなどから登用。これらを通じてGSKの立ち位置を改めて理解し、変革を促す

2)取締役会の関与やインベスターの支持
(日本と欧米でコーポレートガバナンスの在り様は異なるが)インターナルブランディング、社員のエンゲージメントに取締役会が関与し、投資家もその重要性を理解してもらい支持を得る

3)ルールを作って、Globalに一斉に変わる
国の状況・文化の違いから困難な部分はもちろんあるが、ルールを作ったら割り切って、グローバルに一斉に変わる

 

またリーダー層を改造するために、彼らへのコミュニケーション・トレーニングに投資することが重要であり、“Talent War”におけるHRの役割や関わり方をアップグレードすることも求められます。さらに現場に浸透させるメカニズムや工夫も必要です。そして、パーパスやエンゲージメントを重視しながらも、仲良しクラブ、緩い組織にはならないというのも、グローバルカンパニーが重視することでしょう。

最後は補足として、グローバルシーンにおける日本人リーダーの課題を、個人的な観察・反省から挙げて、続くディスカッションで議論したいと思います。

・“総合的”なコミュニケーション力
大人の英語とStory-tellingできる力、ノンバーバルなノリの作り方、自分の存在感・影響力・自分のブランド作り方がもっとできると良い

・発想・アプローチ
Executionに偏らない戦略的発想・議論。日本の特殊性に固執せず、そのベストプラクティスに普遍的なインサイトを与える。思い切りのあるロジックを組み立てる訓練・教育が必要

・興味・知識・情報
最近の社員・大学生はCultural Sensitivityが低い。日本からの留学生や、海外勤務を希望する社員は少なくなってきた。オープンに海外の知識を獲得し、仕事以外を語る力やリベラルアーツ的な教養が必要

宮原 伸生  氏
Executive Coach & Guide 代表

Profile:東京大学教養学科卒・UCLA経営大学院(MBA)。博報堂・マッキンゼー&カンパニーを経て、コカ・コーラ・Diageo-Moet-Hennessyで多くのブランドのマーケティングを統括。2003年より日本ケロッグ社長、市場拡大・サプライチェーンの改革などを推し進めた。2010年より、OTC薬品・オーラルケアの大手メーカーであるGSK(グラクソスミスクライン)コンシューマーヘルスケアにて、日本・韓国の社長を務める。在任中は多くのブランドの成長戦略・組織改革・アライアンスの推進など、企業価値の向上に尽力。2019年より、かねてより関心が高い「人」という課題について、ビジネスコーチとして人材育成のサポートを行いつつ、学習院大学にて講師として次の世代にビジネスの全体像とその魅力を伝えている。主著に『外資系で自分らしく働く人に一番大切なこと』(ダイヤモンド社)等。

 

第3講「価値共創とインターナルブランディング」

社会保険労務士法人ソーケム 代表社員 伊藤 佳代 氏

伊藤講師からは、企業内の人財やそれぞれの価値観を尊重しながら、優れた企業理念に基づくブランド主導型の人的資源管理、ブランド価値共創につながる従業員のブランド体現“Living Brand”など、ダイバーシティやインクルージョンの推進におけるインターナルブランディングの重要性や取り組みについてお話いただきました。

伊藤講師:

はじめに、女性や障害者といった価値観等が異なるダイバーシティ人材を、社会的意義を踏まえながら、いかに企業の強い成長力に変えていくか、またこれを強いコーポレートブランドの構築へとどのようにつなげていくのか、ということが現在求められています。 

そのためには、経営理念、ビジョン、ミッション、バリューを社員に浸透させ、理解や共感を得ることが必要です。先ほどの宮原講師のお話にもあったように、欧米では共鳴も重要となっています。様々な価値観を持った方のダイバーシティ&インクルージョンのためには、ブランド主導による組織作りが必要であることから、インターナルブランディングの重要性が高まっています。

 

陶山先生と著した『インターナルブランディング―ブランド・コミュニティの構築』(2021, ‎ 中央経済社)は、日本マーケティング学会「日本マーケティング本大賞202210作品の内にノミネートされるなど、学術分野においてもインターナルブランディングは注目されています。

ブランディングと人(社員)との関係をみると、社員はブランド価値の源泉であり、企業価値や商品サービスの価値を作り出す源泉でもあります。

企業のブランディングは、役員、社員、企業全体で考え、参加し、ともに創りあげていくものです。それは「ブランドを組織の中心に据えることで、組織全体がブランド視点から適切な戦略的意思決定を下すことができる。ブランドを中心とした企業文化づくりをすることが、最終的に企業の収益性を高めることに貢献する(Davis and Dunn, 2002)」ためです。

 上記の企業文化は「経営者や社員によって共有される価値観や規範などを含み、経営戦略、企業目標、業務方針の決定やあらゆる活動に大きな影響を与える一連の強力な力(Edgar H. Schein, 1999)」であり、トップが意図的に構築することで、競争力のある強いブランドが構築されます。 

インターナルブランディングの定義を、私は次のように定義しています。

「ブランド理念を中核にリーダーシップ、人的資源管理、コミュニケーション、コミュニティの形成を通じて、従業員が社内外のステークホルダーとともにブランド共創を行う社会的意義のある経営戦略(伊藤, 2021)」

他方、「インターナルブランディングは企業ブランドへの従業員の理解と共有、行動により望ましいブランドイメージを醸成する管理ツール(Ragheb,et al., 2018, Barros-Arrietal and Garcia-Cali,2020)」などの定義もあり、これを実装するための5ツールがあります。

協力的な企業文化の下、①ブランド・イデオロギー(理念)を中心に、②リーダーシップ、③人的資源管理制度、④コミュニケーション、⑤コミュニティを取り入れて、社員だけでなく社会のあらゆるステークホルダーとともに普遍的な企業のブランド共創を行うことで、企業が成長するための社会的意義のある中核的な経営戦略となります。 

また商品やサービスの価値や品質を支えているのは社員一人ひとりの日々の活動であるため、インターナルブランディングとエクスターナルブランディングの両者はつながっており、また同時に存在します。社員がそれぞれ会社の目指す方向と同じベクトルで、企業そのものの価値を高め、成長していくためにインターナルブランディングは重要な役割を果たすのです。 

さらに現在では、ダイバーシティ&インクルージョン(DI)、あるいはこれにエクイティを加えたDEIを推進のための企業文化の醸成は、以下のような事業成長への変化を起こすための手段となります

●自分が受け入れられ、その才能や能力が活かされる、安全安心な職場
→ エンゲージメントが高まる → イノベーションが起こりやすくなる → 組織のパフォーマンスが向上する

ブランド主導型組織の協力的な企業文化の下で、人的資源管理(HRM)が行われると、社員は自分の役割に気づき、事業に貢献し、ブランドプロミスの実現と誇りにつながります。しかしこれには継続的な取り組みが必要で、継続することでブランド理念が従業員に浸透し、ブランド体現 “Living Brand”に至るのです。

 

強力なブランド構築に向けた理想的なインターナルブランディングのモデルはスライドに示す通りです。

従業員の理解や、自分への落とし込み、自立的な行動。これを支える人事施策であるブランドコミュニケーションから、ブランドコミットメントが生まれて、Living Brandに至ります。先に紹介した実装の5ツールと共に施策を継続することで、自己実現欲求も超越した、利他的・社会的意義をもつ強力なブランドにつながります。ブランド力の形成には、ブランド中心の制度が不可欠なのです。

 ブランド体現への人事施策は、モチベーションアップの施策【仕事の楽しさ、達成感、よりよい処遇、教育・評価制度】を継続することです。すると周囲の期待からパフォーマンスが向上し、ブランド体現が実現します。マズローの5段階欲求階層にさらに加わった6番目の自己超越欲求と対比させて、企業のパーパスや存在、社会的意義を表現に至るブランド体現を「Super Living Brand」と呼んでいます。 

インターナルブランディングのゴールは、社員が企業へのロイヤルティを持ち、行動する=ブランド体現する自立型社員の育成であり、企業のブランド戦略と一体化していくことです。人(社員)は企業のブランド力を左右するため、企業の持続的成長には人への投資は欠かせません。 

経済産業省では、ダイバーシティ経営を「多様な人材を活かし、その能力が最大限発揮できる機会を提供することで、イノベーションを生み出し、価値創造につなげている経営」と、定義しています。

性別、年齢、人種や国籍、障がいの有無、性的指向、宗教・信条、価値観などの多様性だけでなく、キャリアや経験、働き方などの多様性も含めた多様な人材が、それぞれの持つ潜在的な能力や特性を活かし、生き生きと働くことのできる環境を整えることによって、自由な発想が生まれ、生産性が向上し、自社の競争力強化につながる、といった一連の流れを生み出しうる経営を指します。

さらにダイバーシティ経営の取り組みのステップとして、①経営陣の取組(トップのコミットメント、リーダーシップの重要性)、②現場の取組(企業文化の醸成)、③外部ステークホルダーとのコミュニケーションを示しており、これにインターナルブランディングの果たす役割は大きいことが分かります。

 

現在、ダイバーシティ&インクルージョン(DI)から、エクイティを加えたDEIへ。さらにアメリカ等では帰属意識Belongingを加えたDEIBが推進されています。この帰属意識は、会社へのロイヤルティではなく、その場にいることや認められている安心感を生み出すもの、と言われています。周囲から認められる喜びや、安心安全な職場は、すべての企業経営のベースとなるものです。 

具体的にDEIBを推進するインターナルブランディングの以下の事例をみると、インターナルブランディングを通して、ダイバーシティ&インクルージョンの推進し、イノベーションを促進、社外からの高い評価を獲得しています。

事例1)カルビー株式会社
カルビーの全員活躍の仕組み/5Values/Learning Café/CFLイノベーション「にゅ~みん」開発

事例2)オムロン株式会社
企業理念の実践事例を定着させTOGA:The OMRON Global Awards/高い社外評価 

 

これら企業では、互いを認め合い・尊重する協力的な企業文化を下地として、ダイバーシティ&インクルージョンの推進からイノベーションを生み出し、事業成長と社会的評価につなげています。またエクイティEqualityや帰属意識Belongingを含めたDEIBを推進する組織は、ブランド主導型で生まれ、エクスターナルステークホルダーに対し、ブランドアイデンティティを届けます。あらゆるエクスターナルステークホルダーとの長期的な関係構築から、ブランド共創が行われ、その結果として強いコーポレートブランド構築されているのです。

伊藤 佳代 氏
社会保険労務士法人ソーケム 代表社員
Profile:立命館大学国際関係学部卒、在学中ブリティッシュコロンビア大学留学、関西大学大学院商学研究科博士課程前期課程修了。関西大学修士(商学)。2002年社会保険労務士登録。2006年特定社会保険労務士登録。2017年より社会保険労務士法人ソーケム代表社員就任、株式会社ソーケム執行役員。長崎県立大学経営学部非常勤講師(2021年)、関西大学政策創造学部非常勤講師(2021年)、同商学部ゲストスピーカー(2020~2021年)、日本マーケティング学会会員、日本流通学会会員、一般社団法人ブランド戦略経営研究所会員。主著に『インターナルブランディング:ブランド・コミュニティの構築』(共著、中央経済社、2021年)。「マーケティングにおけるインターナルブランディングの位相」(共著、『明治大学経営論集』第69巻第4号,2022年3月),「地域創生における『ヒト』ネットワークづくり:コト発信とステークホルダー間共創」(陶山計介・室 博・小菅謙一・羽藤雅彦・青谷実知代編著『地域創生と観光』(近刊)等がある。その他、中小企業から中堅企業まで業種を問わず、人事制度の構築、就業規則、労務相談、セミナー講師等の実績を持つ。

 

パネルディスカッション・質疑応答


(左から順に)陶山理事長、藤岡氏、吉田氏、宮原氏、伊藤氏

陶山理事長をファシリテーターとして、藤岡氏、吉田氏、宮原氏、伊藤氏の4名とともにパネルディスカッションを実施しました。

「ダイバーシティ&インクルージョン」が、企業の組織活性化やイノベーションの促進、企業や大学の価値向上、ブランド戦略経営や持続的競争優位の構築といかに関連するかなどについて考えるため、講演内容を踏まえて改めて議論がなされました。
多様性・包摂性、サステナビリティ、SDGsなど、今日の教育やビジネスをめぐる社会的なミッションがクローズアップされています。これらが登場してきた背景と共に、これらの捉え方、推進する意義について、それぞれの立場から率直な意見がだされ、活発な議論がなされました。会場やオンラインからも率直な質問や意見が活発に出され、本フォーラムのテーマを深める有意義な質疑応答の機会となりました。

閉会の挨拶

最後に、本フォーラムの後援団体である関西大学東京経済人倶楽部を代表して、関西大学東京経済人クラブ運営委員/JLLモールマネジメント株式会社取締役会長の大津 武氏より、講演を受けて閉会の挨拶をいただきました。従来の視点とは異なる、不可欠な戦術としてのダイバーシティ&インクルージョン、戦略的なマーケティングのダッシュボードとしてのSDGsなど、本フォーラムで得られた考え方を、今後の経営に活かしていきたいと感想をいただきました。

総括

今回の東京第21回フォーラムは「ダイバーシティ&インクルージョンを通じたブランド価値向上:グローバル化、リーダーシップ、理念」をテーマに、3名からそれぞれの分野でのこれまでの素晴らしい活動や研究についてお話しいただきました。講師をはじめ多くの皆様のご協力により本フォーラムを盛況のうちに終えることができました。ご講演いただきました講師の皆さんには厚くお礼申し上げます。

2022/11/30

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