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【開催レポート】2012年10月度 東京第2回フォーラム

『顧客満足とブランド』
日本版顧客満足度指数(JCSI)から見るブランディング

顧客満足は業界や規模を問わず企業がミッションとして常に掲げなければならない経営目標の一つです。またそれはブランドパワーの構築に欠かせません。しかし、そもそも顧客満足とは何か、また自社の提供する製品やサービス、ブランドが誰の、どんな顧客満足につながるのか、そして顧客満足は国や地域によって異なるのか、という問いに答えるのはなかなか難しいのが現状です。

今回の東京第二回フォーラムでは、アメリカにて約20年前に開発されたACSI(The American Customer Satisfaction Index )を参考に、独自に開発されたJCSIをどうすれば高められるのか、ブランドとの関係を踏まえて今回は学びました。

主催者開会の挨拶

当研究会理事長の陶山から、第二回目の東京フォーラム開催のご挨拶及び当研究会の主旨をご説明させていただくともに、現在当研究所が行っている小売・卸売・メーカーにおけるPBに関する調査の概要、今後の活動などを紹介させていただきました。

第1講「JCSIについて」

日本生産性本部 サービス産業生産性協議会が独自に開発したJCSI(日本版顧客満足度指数:Japanese Customer Satisfaction Index)の概要を先ずは同協議会の湯浅勝浩氏から発表いただきました。

このJCSIは、統計的な収集方法による総計10万人以上の利用者からの回答をもとに、日本の幅広い産業をカバーした日本最大級の顧客満足度調査に基づいたものです。

アメリカで開発された顧客満足度指数に参考し、顧客期待、知覚品質、知覚価値、クチコミ、ロイヤルティの各変数に独自の項目も加えた修正モデルを用いたものでもあります。

年間32業種・業態、約400企業・ブランドの調査が実施されています。 そのランキングはサービス産業分野では最も有力な経営目標の一つとして高く評価されています。具体例としてオルビスとスターフライヤーの2社に関する詳細な調査結果と課題も示していただきました。

湯浅 勝浩氏
公益財団法人日本生産性本部 サービス産業生産性協議会 課長

Profile:1973年生まれ。1996年~2000年 交通計画専門のコンサルティング会社に勤務。2001年に社会経済生産性本部(現 日本生産性本部)に入職。2011年までの10年間はコンサルティング部に所属し、中堅中小企業を対象とした経営コンサルティング、研修プロデュース業務に従事。2011年4月より現職。JCSIの開発・改善・実施・広報・企業支援などの業務を主に担当している。
第2講「顧客満足を高めるために」

知名度がなかったオルビスでどうサービスを提供するかについて、化粧品通信販売事業におけるマイナスをプラスに変化させる先進的なサービス制度について行って頂いた詳細なご紹介は、参加者に感銘を与えるものでした。

とくにコンタクトセンターが顧客の代弁者的役割を発揮し、「おもてなし」対応を通じて信頼性をベースにしたダイレクトマーケティングを展開した結果、顧客満足度が高まるだけでなく、さらに、オルビスブランドそのものの再構築、業績にも十分に寄与するとの結論は説得的でした。

今後、顧客満足度の更なる向上を図るには、お客様と直に接するオペレーターにいかにオルビスを好きになってもらえるかが重要であるとの課題も示していただきました。

和田 恵里子氏
オルビス株式会社 フルフィル・CRM推進部 部長

Profile:1987年オルビス株式会社入社。入社以来コールセンターのお客様対応ならびに運用管理を担当し、オペレーターの採用・育成にも関わる。2001年アウトソーシングセンター立ち上げに従事。現在はフルフィル・CRM推進部コールセンター担当部長としてインハウスセンターとアウトソーシングセンター2拠点の運用管理とコールセンターの応対品質向上に注力している。
第3講「ブランディングの先にあるもの」

レガシーキャリアとLCCとの中間に位置するハイブリッドキャリアというポジショニングで、利便性、快適性、やさしさ、感動あるエアラインを目指してきた各種の実践が、高い日本版顧客満足度につながったことをビジュアル面でも優れた資料を用いて報告されました。

機内空間・設備等の機能的ベネフィットだけでなく、情緒的なベネフィットの提案と施策コミュニケーションはブランド戦略としてもきわめて注目されるものでした。

また、ブランド戦略を行ったことによるメリット(広がりの例)、今後のブランド戦略、ターゲット層への対応等について、実務者ならではの生の声をお聞かせいただきました。 

川路 利嘉氏
株式会社スターフライヤー営業本部CS推進室長

Profile:1965年生まれ。1988年百貨店に入社し、宣伝部・宣伝企画課長等を経験。その後広告会社でアカウントプランニング局次長兼プロデューサー職を経て2005年株式会社スターフライヤーに入社。コミュニケーション&ブランド戦略部長、東京支店長、2010年よりCS推進室長。当社の創業時に於いてブランド戦略や広報・宣伝の基盤創り、またブランドアイデンティティ創成業務に従事した後、CS推進室の開設とともに顧客視点でのCS推進業務に従事。
◇パネルディスカッション

まず、顧客満足度の向上にむけた取り組みやそのための点検・評価活動が企業業績の改善との関連についてディスカッションがなされました。

JCSIでは2010年から2011年調査で数値があがったところは業績もあがったところであること、コンタクトセンターとしての応対の良さと業績が連動していること、顧客満足は少し遅れて業績に反映していると感じること等が述べられました。

次に、顧客満足を高める取り組み、日常業務や講師の立場からみたブランド、ブランド戦略との関わりについてディスカッションがなされました。

ブランドとは必要十分条件に該当するようなものではないか、変えるところと変えないところ、人がブランドをつくっていく、お客様の不満を解消するものがブランドではないか、顧客満足とブランドは、セグメントをどう設定できるかで関係するのではないか等が討論されました。

このように、各講師からは顧客満足度の向上にむけた取り組みやそのための点検・評価活動が企業業績の改善につながるだけでなく、同時に強力なブランドの構築にも寄与することが強調されました。当ブランド戦略経営研究所(BSI)への大きな期待と要望もいただきました。

パネリスト: 湯浅 勝浩氏 公益財団法人日本生産性本部 サービス産業生産性協議会 課長
和田 恵里子氏 オルビス株式会社 フルフィル・CRM推進部 部長
川路 利嘉氏 株式会社スターフライヤー 営業本部CS推進室長
コーディネーター:陶山計介理事長
◇質疑応答

質疑応答では、顧客満足の高い企業に共通する特徴について、各要因間の相関や満足度のバラツキなどについて活発な質問が飛び、経営的側面でのブランドロイヤルティの重要性を再認識するとともに、満足を高める要因や施策についても、実践的に把握することができました。

2012/10/19

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