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【開催レポート】2013年8月 定例研究会

"ALL SECOM"で取り組むセコム=『安全・安心』のブランド作り

2013年8月度(通算73回)定例研究会では、安田 稔 セコム株式会社 理事・コーポレート広報部部長から「"ALL SECOM"で取り組むセコム=『安全・安心』のブランド作り」についてご講演いただきました。

"ALL SECOM"で取り組むセコム=『安全・安心』のブランド作り

1962年、飯田亮氏が戸田寿一氏(いずれも現取締役最高顧問)とともに創業した日本警備保障株式会社(現セコム株式会社)は、日本初の家庭向けホームセキュリティシステムを開発してきましたが、50年余を経た現在、「セコム(Security Communication)」ブランドの下、47ヵ所のコントロールセンター、全国約2,830カ所の緊急発進拠点をもち、24時間365日、外出時も在宅時も安心のトータルケア、海外では台湾、韓国、中国、イギリス、アメリカ、オーストラリアなど11ヵ国でのセキュリティ事業などを展開するにいたっています。

セコムグループは、今や連結売上高7,656億円、経常利益1,136億円(2013年3月期)の「安全と安心を売る一大社会システム企業」へと成長しています。

同社のコーポレート広報を牽引されている安田理事・コーポレート広報部部長は、第一に、「セコムはブランド力を重視する」という会社としての立場を明確にされました。具体的にはセコムは安全・安心のトップ企業、社会に信頼される、役立つ企業、最高品質のサービス、独創的、ユニーク、革新的、高成長企業、というブランドイメージをもたれているが、さらに、セコムらしい方向性の中で社会・お客様との信頼を強固にすることによって「安全・安心」軸で対競合差別化をはかることをコーポレート広報部の今年度目標に掲げておられます。インターブランドジャパンのいう、Choice, Premium, Loyaltyがセコムのブランディングの目的です。

第二に、「セコムのブランド力を検証する」として、①創業者である飯田 亮取締役最高顧問の情報発信力、②企業理念に基づく経営(「現状打破の精神」、「既成概念の打破」、「正しさの追求」、「セコムの事業と運営の憲法」)、③明確なビジョン(「社会システム産業」の構築)、④ブランドイメージの構築(ロゴマーク+コーポレートメッセージ、ステッカー、サービスを提供する緊急対処員(車両)など、イメージキャラクターである長嶋茂雄氏(「セコム、してますか?」、パブリシティ、宣伝広告、Web、株価、IR、採用活動、口コミ)について、それぞれ説明していただきました。

そして第三に、「セコムのブランド浸透・強化の課題」に言及され、①セキュリティでトップとしてのブランド力強化(「大手警備会社」から「セキュリティ会社」へ)、②セコムへの「信頼」のイメージの定着化(まじめ、誠実、信頼から「社会に有益」「役に立つ」へ)、③新たなイメージ構築("ALL SECOM"でのトータルな「社会システム産業」のイメージ創出)をあげられました。

セコムは、新しいビジネスを創造するための要諦となるフィロソフィーやスピリッツとして、小さなことにこだわらない伸びやかな「豁達(フータ)」の精神にもとづく変化の先取り、ビジネスデザインの革新、否定から生まれる創造を掲げています。安田理事・コーポレート広報部部長より今回いただいたセコムの「安全・安心」のブランド作りの現況や広報・コミュニケーション上の課題に関するお話しは、「サービス企業のブランディング」を超えて大変示唆に富むものであり、出席者に深い感銘を与えました。

安田 稔氏
セコム株式会社 理事・コーポレート広報部長

Profile:昭和29年 愛知県一宮市生まれ。昭和53年3月 明治大学政治経済学部政治学科卒業。昭和55年2月 日本警備保障㈱(現・セコム㈱)入社。昭和57年4月 本社広報室、平成元年5月 広報室次長、平成6年4月 セコムグループ広報室長を経て、平成19年9月 コーポレート広報部長としてセコムグループの広報・宣伝・Webを統括している。
◇質疑応答

講師の発表をふまえ、セコムが防災、メディカル、家族・子供・高齢者、健康(訪問看護・介護サービスや予防健康)損保、住・食、地理情報サービス、情報系事業を多角的に展開する中で、セキュリティと安全安心という「アンブレラブランド」との関連をどう明確にしていくのか、その際にセコムブランドのコア・アイデンティティのなかに創業者飯田亮氏の経営哲学やこれまで進めてこられた安全と安心を売る一大社会システム企業としての「セコムらしい」提供価値の上をどう位置づけるのかといった質問が出されました。

これについては創造的破壊と「新しい産業作り」がセコムの歴史であること、またセキュリティ事業のもつ将来性がまだあるにもかかわらず、「安全と安心」を切り口に他の事業分野に拡張していく理由については、クオリティとバランスを考慮しながらも不断の事業転換してきた歴史やその意義を強調されました。

また事業拡張にともなってセコムのブランドイメージが希薄化するのではないかとの懸念について安田部長は、個々の事業ではなくその根底にあるサービスの機能や提供価値がもたらす全体としてのブランドイメージというとらえ方が必要なのではないかと話されました。
その他、海外での事業展開の見通しや国内外での安全意識やサービスに対するニーズの違いなどについても会員からさまざまな意見が出され、予定した時間を延長しての活発な質疑応答がなされました。

2013/09/06

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